資産運用する場合、自分の資産を生活防衛資金と余剰資金(余裕資金)に区別することで、投資のリスクから大切なお金を守ることにつながります。
そこで、いくら投資に回せるかを計算し、どうやって運用すればいいか?について解説していきます。
投資できる額を見極める
投資は元本の金額が大きければ、それだけ投資効果も大きくなります。ただし、投資には元本割れのリスクがあることを忘れてはいけません。
つみたてNISAで投資信託を積立する場合、個別株式のように会社が倒産して株の価値がゼロになる、ということはありません。
しかしながら、株価が暴落した場合は資産が大きく目減りする場面も想定されます。
相場の暴落や高騰の波を乗り越えながら、長期間運用してくことでリスクをコントロールすることにつながります。
そのため、長期間使わなくても困らない資金を投資にまわす必要があります。
反対に短期資金である5年以内に使う予定のお金や、病気などで働けなくなったときのための生活防衛資金は、使う時期によって管理し普通預金や定期預金で運用するのが安全です。
相場の格言に「命金(いのちがね)には手をつけるな」というものがあります。
生活費など使う予定のあるお金を「一時的に増やすため」と投資にまわしてしまうと、市場の動きが自分の予想と違う結果になった場合に生活に支障が出てしまいます。
そこで、投資できる額がいくらあるかを計算する必要があります。
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余剰資金を計算する方法
投資に回すお金には次のような計算方法があります。
現金、預金額はいくらあるか
まずは銀行預金や現金がいくらあるか、合計を計算します。
持ち家などの不動産や、株や債券などすでに投資にまわしているお金は除きます。
大和ネクスト銀行が実施した「貯蓄と投資に関する調査2020」では、貯蓄の状況について次のような調査結果が出ています。(対象:全国の20歳から69歳の男女1000人)
全国の20歳~69歳の男女1,000名 (全回答者) に、貯蓄の状況について質問しました。
全回答者 (1,000名) に、預貯金 (外貨預金、タンス預金含む) をどのくらい持っているか聞いたところ、「0円」が13.7%、「1円~100万円未満」が26.0%、「100万円~200万円未満」が14.1%、「200万円~300万円未満」が7.3%となりました。他方、「500万円以上」は27.2%、「1,000万円以上」は14.5%となりました。
備えておくべきお金はいくら必要か
次に近い将来使う予定、あるいはもしもの時に備えておくお金を計算します。
子供の教育費や車の購入資金など、5年以内に使う予定のお金は投資にまわさず銀行預金で運用した方が安全です。
仮に株式市場が暴落した場合、投資した元本が回復されるまで5年以上かかるというのがその理由です。
また、生活防衛資金を用意しておくことも大切です。
健康な状態で働いていて、毎月安定した収入が入っているうちは気づかないのですが、病気やケガ、大規模災害などで働くことができなくなったときのためのお金も必要です。
急に収入がなくなっても困らないように、当面の間の生活資金は普通預金や定期預金に預けます。
一般的なサラリーマンで、月収の6ヶ月分がひとつの目安になります。自営業の場合は、より多くの生活防衛資金が必要になります。
現預金から備えておくべきお金を差し引く
こうして、はじめに計算した現預金から備えておくべきお金を引いた金額が、余剰資金になります。
当分使わなくても困らない金額に設定することで、10年、20年といった長期間で運用する心の準備もできます。
「このお金が元本割れしても夜安心して眠れるか?」というメンタル面(リスク耐性)も余裕資金を計算するうえで大切な要素になります。
僕の場合は、計算された金額に0.6を掛けた金額を投資にまわすようにしています。
株式型や外国の商品を投資信託を組み入れて運用する場合、市況や為替の変化、戦争、天災などの理由で一時的に損失が膨らむ場合があります。
こうしたときに追加購入できる現金を残しておくことで、価格が下がった商品を買い増してピンチをチャンスに変えることができます。
どうやって運用すればいいか?
低金利が続く中で、銀行預金だけでお金をふやすことは難しくなっています。
では預金以外で資産形成するとして、どの金融商品を選んで投資すればいいのでしょうか?
株式、債券、為替、投資信託といった数ある金融商品の中で、株と投資信託それぞれの運用方法について解説していきます。
値上がり益が魅力の株式取引
株は安い値段で買い、高い値段で売ることで値上がり益で儲けることができるのが特徴です。
そして株主には、会社が儲けた利益の一部が配当金として還元されます。つまり、株を保有しているだけでも利益を得ることができます。
また、配当金のほかに株主優待という特典もあります。外食チェーンなら食事券、食品メーカーなら自社製品といったように、その会社の製品や割引券をもらうことができます。
株の値段である「株価」は常に変動します。株を買いたい人が多ければ上がり、売りたい人が多ければ下がります。
一番の要因は会社の業績です。業績が上がれば投資家の人気を集め、逆に下がれば投資先としての魅力が下がり株価は下がります。
ほかにも世の中の景気や、新製品の開発、配当を増やすなどの要因も株価に影響を与えます。
こうした株価の動きは、新聞やテレビ、ネットなどのニュースをチェックする習慣が必要になります。
株を保有することで、自然とその会社や取り巻く環境に興味を持ってニュースを見るようになるので、経済ニュースについての関心も高まります。
株式の取引には証券会社への口座開設が必要です。
おすすめは手数料の安いネット証券です。大手ではSBI証券、楽天証券、マネックス証券などがあります。
株を買う際には最低売買単位(単元株数)ごとに買う必要があるため、ある程度のまとまったお金が必要になります。
これに対して「ミニ株」といって単元株数の十分の一の株数で取引できる方法もあります。
例えば単元株数1000株で株価が300円なら30万円のお金が必要になりますが、ミニ株なら3万円から買うことができます。
また、「るいとう(株式累積投資)」といって、一銘柄につき1万円以上で積立できる投資方法もあります。
投資初心者におすすめの投資信託
投資信託は少ない金額で数多くの銘柄に投資できるのが特徴です。
証券会社だけではなく、銀行、保険会社、信用金庫・信用組合、農協など多くの金融機関で買うことができます。
株式以外にも債券、不動産にも投資することができ、日本以外の世界各国に投資することができるのです。
もちろん株式のように安く買って高く売ることもできますが、基本的には中長期で運用したい人に向いています。
10年以上の長期間にわたって、毎月決まった金額で積立投資することでリスクを抑えながら着実に資産を殖やしていくことにつながります。
投資信託の場合は、商品を選んで毎月の自動積立設定をすることで、毎日の値段の動きをチェックする必要はありません。
また、新聞やテレビの経済ニュースを見ながら、売買いのタイミングを図る必要もありません。
そういう意味では、資産形成はしたいがそれに関わる時間をとられたくないという人に向いています。
積立投資をはじめるなら「つみたてNISA」という非課税制度を利用するのがポイントです。
投資信託は6,000本以上の商品がありますが、そこから低コストで運用金額が大きい商品にあらかじめ絞り込まれているため、投資初心者にも始めやすい制度となっています。